会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2021/09/9

 木戸部長は、時間外労働の対策検討を進める中で今後の残業代の見込を試算しようと考えていたが、割増賃金の計算の際に、どのように端数処理がされているのかわからなかった。そのため、社労士に確認することにした。

 最近、残業が増えている部署があり、一度、今後の残業代について個人ごとに試算をしてみようと思いました。そうしたところ、どのように端数処理をしたらよいのか疑問に思うことがあったので、今日はこれについて確認できればと考えています。

 わかりました。給与計算ソフトで計算してしまうと、どのように端数処理が行われているのか分からなくなりますね。行政通達(昭和63年3月14日 基発第150号 婦発第47号)で、割増賃金計算における端数処理については、以下のように示されています。

 次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び法第37条違反としては取り扱わない。

  1. 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。
  2. 1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。
  3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2.と同様に処理すること。

 すべて労働者が有利になるように、切り上げが必要かと思っていましたが、この部分について切り捨てたとしても、労働基準法違反にはならないということですね。

 はい。まず、2.と3.を解説します。1時間当たりの賃金額を算出した際に、円未満の端数が生じたとしても、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げて問題ありません。この端数処理を行ったうえで、割増率をかけた際に円未満の端数が生じた場合も、同様になります。
 例えば1時間あたりの賃金額1,345円に割増率1.25をかけると、1,681.25円になりますが、これを1,681円として計算しても問題ないということになります。

 その都度、端数処理をして問題ないということですね。

 はい。一般的に給与は1ヶ月単位で支払うことが多くなっているため、1ヶ月の割増賃金を算出する際に、割増賃金額に残業時間数の総額に1円未満の端数が生じた場合についても、円未満の端数があれば、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げて問題ありません。
 例えば、1時間あたりの賃金額が1,681円で、残業時間数が8時間48分だった場合、以下のようになります。
 1,681円(1時間あたりの賃金額)×8時間48分(残業時間数)=14,792.8円
 これを、円未満の端数処理を行い14,793円として支給することとなります。

 1ヶ月分の割増賃金額を算出する際に、最後だけ端数処理を行っても問題ないのでしょうか?

 この取扱いは、労働基準法違反として取り扱わないとされているものです。そのため、必ずこのようにしなければならないということではなく、おっしゃるようにできる限り端数処理は行わず、最後だけ、端数処理を行っても問題ありません。

 なるほど。端数処理の考え方がわかりました。

 最後に1.について触れておくと、1ヶ月における時間外労働、休日労働、深夜労働の各時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることも認めれています。例えば先ほどの残業時間数8時間48分であれば「9時間」として計算するということになります。
 認められているのは「1ヶ月の合計」の取扱いであって、1日単位での時間数の切り捨て・切り上げは認められていません。

 「1ヶ月の合計」がポイントですね。今後、残業代を試算してみて、また気になる点がありましたら相談します。

>>次回に続く



 ここで、休業手当等を計算する際に出てくる平均賃金の端数処理をとり上げましょう。
 平均賃金については、原則的な算出方法である、3ヶ月間の賃金の総額をその期間の総暦日数で除した金額に銭未満の端数が出た場合、この端数を切り捨てて計算することは差し支えないとされています(昭和22年11月5日 基発第232号)。そして、この平均賃金を基にして休業手当等を計算した際の円未満の端数処理については、割増賃金額の端数処理と同様に、50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上を1円に切り上げとして問題ないとされています。

■参考リンク
東京労働局「3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/yokuaru_goshitsumon/tinginnokeisan/q3.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。


 

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